Journal of Applied Glycoscience
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1,5-アンヒドロ-D-フルクトースから機能性成分アスコピロンPへの加熱による変換
吉永 一浩若松 智波佐伯 雄三安部 淳一檜作 進
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2005 年 52 巻 3 号 p. 287-291

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抄録

1,5-アンヒドロ-D-フルクトース水溶液を加熱するとラジカル消去活性が高まった. それは1,5-アンヒドロ-D-フルクトース水溶液を加熱することで1,5-アンヒドロ-D-フルクトースの500倍のラジカル消去活性を示す物質, アスコピロンPが誘導されることに起因していた. このことから, 食品保存における1,5-アンヒドロ-D-フルクトースの抗酸化機構の一つにこのアスコピロンPへの変換があると推測された. アスコピロンPの効率的な生産方法を検討した結果, 1,5-アンヒドロ-D-フルクトースを155℃で5分間加熱すると, その50%がアスコピロンPに変換し, 加熱により短時間で変換できることが明らかとなった. さらに食品中のアスコピロンPの生成について調べた結果, 1,5-アンヒドロ-D-フルクトースを含む食品, トリュフやオゴノリをレトルト調理することでアスコピロンPは生成した. さらにAPPの別な合成経路として, グルカンを含む食品を「焼く」, 「揚げる」の調理をすることで, グルカンが熱分解し1g中に20μg程度のアスコピロンPが生成することが明らかとなった.

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© 2005 by The Japanese Society of Applied Glycoscience
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