澱粉科学
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製粉方法を異にした米粉の性質
有坂 将美中村 幸一吉井 洋一
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1992 年 39 巻 3 号 p. 155-163

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抄録

 乾式製粉のロールミル粉,ピンミル粉,搗精粉,ジェットミル粉,湿式製粉のスタンプミル粉,圧扁粉,水挽き粉,ジェットミル粉を試料に用い,製粉方法を異にする米粉の特性を調べた. 1)粒度は水挽き粉,ジェットミル粉,搗精粉,スタンプミル粉が細かく,圧扁粉,ロールミル粉,ピンミル粉が粗かった. 2)粒形態は,乾式製粉米粉においては分割された組織体になり,ずり作用をともなう湿式製粉米粉においては分離した澱粉粒の集合体になっているのが走査型電子顕微鏡で観察された. 3)粒形態が分離した澱粉粒の集合体となっている米粉からの団子は,食味が優れて,硬化が遅い傾向にあった. 4)以上のようなことから,米粉の性質には粒度と粒形態が基本的に関係し,粒度には製粉装置が,粒形態には乾式,湿式の製粉方法が影響すると考えられた. 終わりに,本報告の纏めに,種々のご助言を賜りました新潟県食品研究所所長今井誠一博士に深謝します.

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© 日本応用糖質科学会
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