Journal of Applied Glycoscience
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米の食味と糊化・老化特性
梅國 智子貝沼 圭二高橋 節子
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2003 年 50 巻 3 号 p. 395-403

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抄録

 米の食味と糊化・老化特性との関連について,食味やアミロース含量の異なる米8種を試料として研究を行った.測定として示差走査熱量計による米澱粉の熱的挙動は,糊化した試料を室温に10日間または30日間保存した場合について比較した.米粉の粘度はRVAにより求め,低温保存時の米粉ゲル特性,白飯の物性ならびにβ一アミラーゼ・プルラナーゼ法による糊化度の測定から検討を加えた. これらの結果から,アミロース含量が低い,または食味が良いとされる米の澱粉は,DSCでの糊化開始温度,糊化ピーク温度,糊化終了温度および糊化に要する吸熱エネルギー量が高く,糊化した後室温に30日間保存時においても老化の進行は少ないことが明らかとなった.またコシヒカリは米粉の最高粘度は高く,冷却50℃の粘度は低く,軟らかいゲルが得られ,低温保存7日後においてもゲルの物性変化は少なかった.そして炊飯直後の白飯の糊化度は高い値を示し,冷凍保存時における糊化度の低下が少なく,再加熱による糊化度の上昇が大きい、といえる結果であった. このように米の食味にはアミロース含量と糊化・老化との問に明らかな関連が示された.

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© 日本応用糖質科学会
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