日本看護科学会誌
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研究報告
熟練保健師の家庭訪問における支援技術
──思考と行動の特徴
高橋 美砂子
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2010 年 30 巻 1 号 p. 1_34-1_41

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抄録

本研究の目的は,熟練保健師が家庭訪問において,何を見て,何を考えながら支援行為を行っているのか,その思考と行動の特徴を明らかにすることである.対象はA県内の自治体に勤務している熟練保健師13名で,家庭訪問による支援事例を1~2例挙げてもらい,半構成的インタビューにより聞き取りを行った.その中で,保健師の思考と行動の部分を抽出し,得られた内容をKJ法で分析した.その結果,【まず,現場に行って見る】【信頼関係を構築する】【状況をよく観察する】【支援者と実権者を見極める】【本人や家族の力量を見積もる】【連携の可能性を探る】【優先順位を考える】【地域住民との相互関係を蓄積する】の8つの概念が抽出された.熟練保健師は信頼関係・相互関係の構築を基盤とし,家庭訪問における現地性を重んじ,地域住民の通常の生活状況を踏まえた上での観察から,問題の本質を把握し,本人や家族の力を引きだしながら,周りの人々と協力して支援行為を行っていた.

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© 2010 公益社団法人 日本看護科学学会
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