食味が日本晴以上の良食味水稲品種を対象とした食味試験の精度, 各パネル員ごとの識別能力や嗜好性解析した.16回行った食味試験ごとにパネル員を反復とみなした分散分析をすると, 総合評価と粘りはすべての試験において5%水準で品種間に有意な差が認められた.硬さは16回のうち6回は品種間に有意な差が認められず, 他の食味評価項目ほど品種間差を明確に識別できなかった.28名のパネル員ごとの分散分析によると, 食味の品種間差を5%, または10%の有意水準で識別できたのは15名, または19名であった.品種間差の識別能力が高いパネル員はコシヒカリと日本晴の判定の差が一般的に大きかった.各パネル員の総合評価値と全パネル員の総合評価値平均との間の相関係数をそのパネル員の嗜好性を表す指標とすると, 食味の識別能力が高いパネル員の嗜好性は全体での傾向と一致しており, 全体が平均的に良い, または不良と判定した品種を, 同様に良い, または不良と判定した.全体での傾向と異なる評価を高い精度で行うパネル員はいなかつた.