日本家政学会誌
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κ-カラギーナン-ゼラチン混合ゲルの熱および力学特性
栗本 公恵森高 初惠藤井 恵子大越 ひろ中濱 信子
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1997 年 48 巻 10 号 p. 885-892

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抄録

κ-カラギーナン (C : 0.9~2. 7% (w/v)) とアルカリ処理ゼラチン (G : 4. 0~12. 0% (w/v)) を1 対3, 1対1, 3対1の割合で混合したゲルの昇降温 DSC (曲線), 動的粘弾性, 破断特性について測定を行い, 次の結果を得た.
(1) ゼラチンの混合割合の高いC-G (1 : 3) 混合ゲルでは高温部と低温部の昇降温DSC曲線のピークが重なり, κ-カラギーナンの混合割合の高いC-G (3 : 1) 混合ゲルでは, 高温部と低温部の昇降温DSC 曲線のピークが明確に分離した.
(2) 混合ゲルの貯蔵弾性率の測定結果から, すべての混合ゲルで, 混合によるゲル化の相殺作用がみられた.
(3) 高濃度のκ-カラギーナンとゼラチン混合系において, ゼラチンの混合割合の高いC-G (1 : 3) 混合ゲルの破断応力, 破断エネルギーは混合により増加し, 反対に, κ-カラギーナンの混合割合の高いC-G (3 : 1) 混合ゲルでは, 混合によりすべての混合ゲルで破断特性値は減少した.
(4) κ-カラギーナンの混合割合の高いC-G (3 : 1) 混合ゲルの破断特性を発現させる構造は, 主にκ-カラギーナンによって形成されると考えられた.

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