日本応用動物昆虫学会誌
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ウンシュウミカン園における白色剤散布と光反射シートマルチによるチャノキイロアザミウマの樹内密度の減少
土屋 雅利増井 伸一久保山 信弘
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1995 年 39 巻 4 号 p. 305-312

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抄録

ウンシュウミカン樹に白色剤(平均粒径0.7μmの炭酸カルシウム4%水溶液)を散布して,チャノキイロアザミウマ成虫のトラップによる捕獲数と寄生果率及び寄生虫数の変化を,光反射シートマルチの処理区域と無処理区域で調査した。マルチ無処理区域で樹全体に白色剤を散布処理した区では,樹内トラップによる成虫捕獲数が減少し,果実への白色剤付着の有無にかかわらず寄生果率及び果実寄生虫数が減少し,果実被害は許容水準未満になった。白色剤が散布された葉では400∼700nmの分光反射率が全体に高まるとともに,600∼700nmより400∼500nmの反射率増加が大きいため青みを帯びた色になった。この色の変化は散布48日後まで認められた。葉色に近い色のシートに白色剤を浸漬処理すると白色剤が散布された葉と同じ傾向の色の変化が認められ,これに重ねた透明粘着シートによる成虫捕獲数は有意に減少した。樹に白色剤だけ処理した場合には光反射シートマルチだけ処理した場合と同等の実用的な防除効果が認められた。白色剤と光反射シートマルチの併用では,光反射シートマルチだけ処理した場合や白色剤だけ処理した場合に比べて被害果率及び被害度はともに低かった。

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