日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
門脈輪状膵を伴った下部胆管癌の1例
才川 大介海老原 裕磨奥芝 俊一渡邊 祐介宮坂 大介佐々木 剛志川原田 陽北城 秀司加藤 紘之
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2012 年 45 巻 2 号 p. 191-196

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抄録

 門脈が膵実質に完全に包まれる膵形態異常は国内外合わせ,ごく少数だが存在し“portal annular pancreas”または“circumportal pancreas”として報告されている.今回,膵鈎部が膵体部背側と癒合し門脈を輪状に巻き込んだまれな膵形態異常を伴う下部胆管癌症例を経験し,膵頭十二指腸切除術を施行したので若干の考察を加え報告する.症例は84歳の女性で,閉塞性黄疸を呈し下部胆管癌の診断にて膵頭十二指腸切除術を施行した.術中に膵鈎部が背側より門脈を包み込んで膵体部と癒合する形態異常を認めた.改めて主膵管が門脈腹側を通過していることを確認し,門脈のトンネリング後に主膵管が露出するまで膵実質を鋭的に切離し,さらに背側の膵実質は自動縫合器にて切離した.術後にInternational Study Group on Pancreatic Fistula(ISGPF)分類でGrade Aの膵液漏を認めたが保存的治療にて改善した.

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