我々は過去4年間に3例の消化管重複症を経験した.症例1は34歳の男性で, 小児期からの頻回の腹痛と腹腔内石灰化がみられた.確定診断がつかないまま手術を施行し回腸重複症と診断した.症例2は13歳の男児で, 腹痛, 下血により発症し, 術前, メッケル憩室炎と診断し手術を施行した結果, 回腸重複症と診断した.病理組織学的に重複腸管粘膜はすべて異所性胃粘膜であった.症例3は67歳の男性で胃癌にて胃全摘術施行中, S状結腸に小児頭大の腫瘤を認め, 切除したところ重複腸管であった.消化管重複症は比較的まれな先天性疾患で多彩な腹部症状を呈する.術前診断は難しく, 医師は原因がはっきりしない何らかの腹部症状を訴える患者を診療した場合, 本症を念頭におく必要があると思われた.