症例は85歳の男性で, 嘔吐4~5回あり, 翌日腹痛が出現したため救急車にて来院した. 既往歴は高血圧, 胃潰瘍, 完全房室ブロックにてペースメーカーを留置. 来院時, 体温36.6℃, 血圧は146/62mmHg, 脈拍57回/分, 腹部は軽度膨満し, 強度の心窩部痛, 圧痛を認め, 筋性防御を伴っていた. 白血球数10,910μlと上昇, Hb8.5g/dlと低下していた. 腹部CTにて多量の腹水を認めたが, 腹腔内遊離ガスは明らかではなかった. 原因不明の腹膜炎と診断し, 同日緊急手術を行った. 右胃大網動脈領域の大網に血腫を認めたが, これ以外に出血源となるものはなく, 右胃大網動脈瘤破裂と診断し, 血腫領域の大網を切除した. 病理組織学的には解離性動脈瘤の破裂と診断された. 術後経過は良好で第13病日に退院となった.