目的 : 健常者における左房容積の妥当な計測法および正常値を再評価すること. 対象および方法 : 健常成人男性100人 (平均25.1±3.6歳) を対象とし, Cube (C) 法, Ellipsoid (E) 法, Biplane Simpson (bp) 法を用いて左房容積を計測して比較するとともに, 従来の報告とも比較した. このうち22例では3D法とも比較した. 結果 : C法16.1±5.0ml, E法26.3±7.2ml, bp法37.9±10.4mlでありbp法は他の2法より有意に大であった. bp法と3D法で計測した22例ではそれぞれ, 37.0±11.0ml, 37.5±11.14mlであり両者に有意差はなかった. 体表面積で補正したbp法の左房容積係数 (LAVI) は22±5ml/m2であり, 最近よく引用されているWangの20±6ml/m2と同様であった. 考察および結語 : 左房容積計測はC法やE法の簡易式では健常人でも過小評価となり従来の報告同様にbp法で計測すべきであり, 3D法とも良好な一致が見られたことから信頼性も高く, 日常的に使用すべきと考えられた.