抄録
腎尿路超音波スクリーニングの普及により,周産期に発見される先天性水腎症が増加している。無症候性に発見されるこのような水腎症に対する診断法と治療方針に関しては,残念ながら一定の基準が定められてはおらず,いまだに議論が続いている。これには無症候性水腎症の自然経過に不明な点が多いことや,尿路通過障害の判定に絶対的な評価方法が確立されていないこと,などが原因になっている。水腎症の手術適応を評価するために最も一般的に用いられている検査法は利尿レノグラフィーであり,レノグラムカーブから判定する方法と,患側腎機能をもって手術適応を決める考え方がみられるが,それらの評価にあたっては検査法のpitfallをよく知っておかねばならない。私たちの施設における腎盂形成術後の評価では,超音波診断上の水腎の改善と,利尿レノグラム上の排泄パターンの改善は全例に認められたが,患側腎機能が有意に改善したのは全体の1/3のみであった。