抄録
一次性膀胱尿管逆流症 (VUR) 患児78例のアンギオテンシン転換酵素 (ACE) の遺伝子多型の検討と腎機能の評価を行った。DD型を有する患児で有意に腎機能の低下 (GFRの低下等) を認めた。対象患児の中には,両側性の矮小腎を来した症例は無かったが,一側性の矮小腎は24例に見られた。DMSAと造影MRIの解析より,うち,3例は反復性尿路感染に基づく萎縮腎と考えられたが,残りの21例は,先天的な矮小腎 (低形成/異形成による) と考えられた。DD型10例のうち,7例が先天的な矮小腎を有していたと考えられ,VURにしばしば合併する萎小腎の成因にACEの遺伝子多型が関与している可能性が示唆された。