抄録
先天性後部尿道弁が原因と考えられた腎破裂および尿性腹水の1例を経験した。
症例は在胎38週4日,正常経腟分娩で出生した男児。胎児エコーでの異常の指摘はなかった。出生後より徐々に腹部膨満が出現し,哺乳力低下も伴っていたため日齢17に入院となった。入院時,両側水腎水尿管症,右腎破裂,尿嚢腫,膀胱拡張,腹水が確認された。尿道カテーテル挿入により,腹部膨満,腎機能障害は軽快した。排尿時膀胱尿道造影 (VCUG) にて後部尿道弁による尿路閉塞と診断。内視鏡による経尿道的尿道弁切開術を施行し,尿路閉塞は解除された。尿路閉塞解除後の腎機能の改善は速やかであり,尿性腹水による圧の『pop-off mechanism』により腎機能が保護されていた可能性が示唆された。