日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
成人原発性小腸軸捻転症の1例
柴崎 晋澤谷 令兒今井 敦吉川 紀雄
著者情報
キーワード: 小腸軸捻転
ジャーナル フリー

2007 年 68 巻 2 号 p. 351-354

詳細
抄録

症例は57歳, 男性. 既往歴は特にない. 突然上腹部の激痛が出現し, 当院救急外来受診. 腹膜刺激症状はなかったが, 冷汗を伴う強い疼痛であった. 腹部X線検査で軽度の小腸ガス像を認め, 腹部造影CT検査で上腸間膜動脈周囲の巻き込み像 (Whirl-like pattern) を認めたため, 小腸軸捻転症疑いにて症状出現時より8時間後に緊急手術を施行した. Treitz靱帯より肛門側に210cmの小腸が時計回りに180度回転しており, 解剖学的異常, 腫瘍, 異常索状物等なく, 原発性小腸軸捻転症と診断した. 小腸約80cmが壊死に陥っていたため, 切除後端々吻合した. 経過は良好で, 術後9日目に退院した. 本症の成人発病例は本邦では稀であり, 術前診断も困難なことが多いが, 本例においては特徴的なCT所見を認めたため, 早期診断・早期治療が可能であった.

著者関連情報
© 2007 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top