日本臨床外科学会雑誌
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症例
扁平上皮化生を呈した巨大壁外性胃癌の1例
工藤 淳三岸川 博隆谷脇 聡成田 清柴田 孝弥高木 大輔
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2007 年 68 巻 7 号 p. 1709-1713

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抄録

今回われわれは壁外腫瘤部分は高分化型扁平上皮癌, 胃内腫瘤部分は中分化型腺癌であった巨大壁外性胃癌の1例を経験した. 症例は70歳, 男性. 腹部巨大腫瘤を主訴に当科入院となった. 臍~右側にかけ直径約20cmの腫瘤を触れ, CTでは胃に連続して16×12cmの腫瘤および多数の肝転移巣を認めた. 胃内視鏡所見では3型の腫瘍を認め, 生検にて腺癌であった. また注腸では横行結腸が下方に圧排されており, 直接浸潤を示唆する狭窄像を認めた. 平成16年5月中旬, 胃局所切除, 横行結腸切除, 人工肛門造設術施行した. 切除した腫瘍は18×17×13cm, 重量約2kgであった. 病理検索では胃内腫瘤部分は中分化型腺癌, 壁外腫瘤部分は高分化型扁平上皮癌であり, 両者は胃の筋層で明瞭に境界されていて連続性は認められなかった. 組織型が壁内と壁外で異なることは興味深く, 考察を加え報告した.

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© 2007 日本臨床外科学会
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