2007 年 68 巻 9 号 p. 2237-2241
症例は67歳, 男性. 生来健康であったが, 2005年3月28日突然の大量下血あり, 前医に救急車にて搬送され, 緊急の上部消化管内視鏡にて十二指腸粘膜下腫瘍からの出血と診断され, 精査加療目的に同年5月2日当科紹介入院となった. 上部消化管内視鏡で腫瘍は十二指腸第2部, Vater乳頭のほぼ対側に基部があり管内に発育する長径5cm大のこん棒状腫瘍として認め, 表面に一部浅い陥凹があり出血源と思われた. 低緊張性十二指腸造影にて腫瘍は辺縁平滑の陰影欠損として描出され, CTでは内部構造は均一で, 脂肪のdensityと一致した. 胃, 大腸などの他消化管からの出血性病変は認めず, 再出血予防および腫瘍切除を目的に同年5月23日十二指腸粘膜下腫瘍に対して開腹下十二指腸局所切除を施行した. 術後の病理組織の検査にて十二指腸脂肪腫と診断された.