2007 年 68 巻 9 号 p. 2270-2274
症例は56歳, 男性. 2007年1月上旬に腹痛および下痢を認め, 翌日, 右下腹部に痛みが移行し近医を受診, 急性虫垂炎の診断で当科紹介受診となった. 保存的治療で経過観察したが, 発熱および右下腹部痛が増強したため, 同日緊急入院となった. 腹部超音波および腹部CT検査で虫垂憩室炎と診断し, 虫垂切除・腹腔ドレナージ術を施行した. 病理組織学的に虫垂炎を合併した虫垂憩室炎と診断された. 虫垂憩室炎の術前診断は極めて困難で, そのほとんどは急性虫垂炎と診断されて手術される. 今回われわれは, 腹部超音波および腹部CT検査で術前に診断しえた虫垂憩室炎の1例を経験したので, 文献的考察を加えて報告する.