2008 年 69 巻 11 号 p. 2946-2951
症例1:75歳,女性.11年前に肝門部腫瘤に対して経皮的針生検を行い,神経鞘腫の確定診断を得ており,当院にて経過観察中であった.徐々に最大腫瘍径が2cmから4.5cmと増大してきたため,腫瘍摘出術を行い,11病日目に自宅退院となった.
症例2:81歳,男性.高脂血症にて近医通院中,エコーにて肝門部に6cm大の腫瘤を認めたため当科紹介となった.FDG(18F-fluoro-2-deoxy-D-glucose)-PET(positron emission tomography)にて集積を認め,悪性の可能性が否定できないために腫瘍摘出術を施行した.術後8病日目に自宅退院した.
いずれの症例も良性神経鞘腫の診断であった.発生部位として総肝動脈神経叢由来と考えられるが,非常に稀であり,術前診断はエコー,CT,MRI,FDG-PET等の画像検査のみでは困難であり診断的治療である外科的治療が推奨される.