日本臨床外科学会雑誌
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症例
軸捻転により腸閉塞をきたした回腸GISTの1例
中嶌 雅之牧野 洋知永野 靖彦藤井 正一國崎 主税嶋田 紘
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2008 年 69 巻 7 号 p. 1701-1706

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抄録

症例は64歳,男性.平成16年より黒色便を自覚し,上部・下部消化管内視鏡検査を施行されたが病変は指摘されなかった.その後も黒色便が持続していたため,平成18年12月,CT検査を施行した.骨盤内に10cm大のiso densityな腫瘤性病変を認めた.小腸腫瘍の診断で切除術の予定であったが,平成19年1月,嘔吐と腹部膨満感が出現し腹部単純X線写真で鏡面形成を認めたことから小腸腫瘍による腸閉塞と診断しイレウス管挿入した.しかし症状の改善を認めないため緊急手術を施行した.腫瘍はTreitz靱帯から270cm肛門側,回盲弁より240cm口側の回腸に存在し,同部位で回腸が時計周りに180°回転していた.小腸軸捻転症による腸閉塞と術前診断し腫瘍摘出術,回腸部分切除術を施行した.病理組織学的に中悪性度の回腸GISTと診断された.回腸GISTに起因する続発性小腸捻転症について文献的考察を加え報告した.

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© 2008 日本臨床外科学会
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