日本臨床外科学会雑誌
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症例
後腹膜原発myxofibrosarcomaの1例
西條 文人土井 孝志竹村 真一中村 啓之鈴木 秀幸黒田 房邦
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2009 年 70 巻 1 号 p. 249-252

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抄録

症例は45歳,男性.既往歴は特になし.主訴は左陰嚢部腫大と疼痛.近医受診後,当院紹介となった.腹部CT検査にて左側腹部に直径約20cmの腫瘤を認め,消化管間葉系腫瘍,後腹膜腫瘍などを疑い手術を施行した.S状結腸と一塊になった22×14cmの腫瘍を認め,腹膜播種を疑う白色結節を多数認めた.腫瘍とS状結腸と一塊に摘出した.腫瘍割面は隔壁形成を伴う淡黄白色分葉状であった.病理検査にて壊死を伴う後腹膜原発myxofibrosarcoma(以下,MFS)でS状結腸に浸潤していたことが判明した.白色結節にも同様の所見を得た.術後,陰嚢部痛は軽快し経過良好で第8病日に退院した.退院後,姑息的化学療法としてドキソルビシンを使用したが,術後19カ月に局所再発,癌性腹膜炎で死亡した.MFSは四肢や体幹に好発するが,今回後腹膜に発生した非常に稀なMFSを経験したので報告する.

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© 2009 日本臨床外科学会
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