日本臨床外科学会雑誌
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症例
成人原発性小腸軸捻転症の1例
杉浦 浩朗久保 章亀田 久仁郎長嶺 弘太郎遠藤 和伸藤井 一博
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2009 年 70 巻 7 号 p. 2003-2007

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抄録

症例は32歳,男性.上腹部痛,下痢認め,近医受診.腸炎の診断で内服薬処方されるも症状軽快せず,当院救急外来受診した.来院時上腹部中心に強い自発痛と圧痛を認め,腹部単純X線写真にて拡張した小腸ガス像を多量に認めたため,急性腸炎,腸閉塞の診断で入院となった.入院後,保存的加療にて症状軽快せず,再度施行した腹部造影CTにてwhirl like patternを認めたため,小腸軸捻転症と診断し入院から34時間後に捻転解除術を施行した.本症例は開腹手術の既往がなく,腹腔内に捻転の原因となりうる癒着,索状物,腸回転異常などを認めず,原発性小腸軸捻転症と診断した.本邦では成人発症の原発性小腸軸捻転症は稀であり,開腹既往の無い症例に限ると検索しうる限り41例が報告されているのみであった.手術の決定には腹部理学的所見が大切であることは勿論,経過に伴い再度施行した腹部造影CTが診断に有用であった.

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© 2009 日本臨床外科学会
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