園芸学会雑誌
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クルメツツジ品種群における葉の背軸側表皮面の形態的特性とリュウキュウツツジの関与
岡本 章秀野中 瑞生須藤 憲一
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2000 年 69 巻 1 号 p. 103-108

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抄録

クルメツツジ品種群におけるリュウキュウツツジの遺伝的影響を検討するため, クルメツツジ'裾濃の糸'とモチツツジとの交雑実生58個体, クルメツツジ品種群58品種, リュウキュウ系8品種, モチツツジ系5品種およびオオキリシマ系4品種を供試して, 表皮細胞の形状, 表皮のクチクラの形態的特性, 気孔の特徴および葉脈の毛状突起の有無を調査した.クルメツツジ'裾濃の糸'とモチツツジとの交雑実生では, 87.9%が表皮系に関する3形質中, 1形質以上でモチツツジと同じ形態的特性を示した.モチツツジにみられる葉脈の毛状突起はすべての個体に認められた.クルメツツジ58品種中23品種は, 葉の背軸側表皮面に関する4形質中, 1形質以上でモチツツジおよびキシツツジの種群と同じ形態的特性を示した.リュウキュウ系, モチツツジ系およびオオキリシマ系の17品種は, モチツツジおよびキシツツジの種群と同じ形態的特性を有した.これらの結果から, クルメツツジ品種群の成立にリュウキュウツツジの原種であるモチツツジ, キシツツジの一方, あるいは両種が関与していることが示唆された.

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