Journal of Pesticide Science
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水田用ライシメーターからの農薬流出と水溶解度の関係
丸 諭
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1990 年 15 巻 3 号 p. 385-394

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抄録

ライシメーター水田に使用された農薬の流出について検討し, 流出には水溶解度が支配的な影響を及ぼしていることを明らかにした.
1) 1983年から1988年までの6年間にわたり, 21農薬の流出を測定したところ, 農薬の流出率とその水溶解度の間には高い正の相関が認められ, 水溶解度 (X) と表面排水による流出率 (Y1) の関係はlog(Y1)=0.530+0.328log(X), r=0.872, n=20であった. 浸透排水による流出率 (Y2) ではlog(Y2)=-1.381+0.663log(X), r=0.721, n=18であった. 表面排水および浸透排水中の最高濃度と水溶解度の間には高い相関が認められた.
2) 表面排水中の濃度には製剤の影響も関与し, 拡散浮遊型製剤を散布した ethofenprox の流出率は水溶解度に比し高率であった.
3) ライシメーター表面排水による流出率と現地河川への流出率は高い相関を有し, 本試験の結果から現場での流出率を予測できると考えられた.

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