Journal of Pesticide Science
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メラニン前駆物質による tricyclazole 処理およびメラニン欠損いもち病菌の付着器侵入能の回復
奥野 哲郎松浦 一穂古沢 巌
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1983 年 8 巻 3 号 p. 357-360

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抄録

tricyclazole (0.1μM以上) 存在下でいもち病菌胞子は透明な付着器 (メラニン欠損) をセルロース膜上に形成した. その透明な付着器は膜侵入能を欠いていた. tricyclazole による付着器のメラニン化と膜侵入能に対する阻害効果は 3,4-dihydroxyphenyl alanine (DOPA) と 1,8-dihydroxynaphthalene (1,8-DHN) で完全にあるいは部分的に打ち消されたが, scytalone にはこの打ち消し効果は認められなかった. またメラニン欠損いもち病菌 (突然変異株) 胞子は膜侵入能をもたない透明な付着器をセルロース膜上に形成したが, DOPAと1,8-DHN存在下ではこの突然変異株胞子は黒色付着器を形成し, その付着器からの膜侵入能も部分的に回復が認められた. これらの結果は tricyclazole 処理およびメラニン欠損突然変異株における付着器からの膜侵入能の欠失は付着器のメラニン化の欠如によることを示唆している.

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