日本泌尿器科学会雑誌
Online ISSN : 1884-7110
Print ISSN : 0021-5287
ISSN-L : 0021-5287
原著
根治的前立腺全摘除術を施行した前立腺癌リンパ節転移陽性例における即時アンドロゲン除去アジュバント療法に関する検討
宮前 公一木谷 公亮宮本 健次濱田 真輔川野 尚前原 昭仁大塚 芳明大塚 知博濱田 泰之
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 100 巻 5 号 p. 570-575

詳細
抄録
(目的)前立腺全摘除術におけるリンパ節転移陽性例に関して臨床的検討し, さらに術後即時アンドロゲン除去アジュバント療法の有無による治療効果について検討した.
(対象と方法)対象は1992年1月から2008年1月までに当院で前立腺癌に対して根治的前立腺全摘除術および骨盤内リンパ節郭清を施行した874例中, 術後pN1症例の62例.術前臨床病期と術後病理病期の特徴をretrospectiveに検討し, また血清PSAを6カ月毎に測定し0.4ng/ml以上になればbiochemical progressionと判定し全体の生化学的非再発率, 疾患特異生存率および即時アンドロゲン除去アジュバント治療群と即時治療なし群の生化学的非再発率, 疾患特異生存率について検討した.
(結果)病理組織型はGleason 8以上が68.3%を占めリンパ節転移陽性例は悪性度が強い傾向であった.また骨盤内リンパ節転移の中で外腸骨リンパ節転移が最多であった.経過成績に関して全体では5年疾患特異生存率90.3%, 5年生化学的非再発率は67.4%であった.即時アジュバントホルモン療法の有無により5年疾患特異生存率に有意差なく, 5年生化学的非再発率において即時LH-RHアナログのみ群およびMAB療法群の方が即時治療なし群と比較して有意に高値であった.
(考察)Retrospectiveでnonrandomizedな研究であるが前立腺全摘除術後のリンパ節転移陽性例では術後即時のアンドロゲン除去アジュバント療法が即時治療しない群と比較して再発に対して有効である可能性が示された.
著者関連情報
© 2009 一般社団法人 日本泌尿器科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top