日本泌尿器科学会雑誌
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症例報告
Docetaxelを含む多剤併用化学療法後に11q23異常を伴う治療関連白血病を発症した進行前立腺癌の1例
沼倉 一幸土谷 順彦羽渕 友則高橋 直人
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2009 年 100 巻 5 号 p. 580-585

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抄録
11q23に位置するMLL遺伝子を巻き込む均衡転座は治療関連白血病に認められる.原因となる薬剤はtopoisomerase II阻害剤がほとんどとされているが, docetaxelによる治療関連白血病の報告は極めてまれである.我々はdocetaxelにより治療関連性白血病を発症したと考えられた進行前立腺癌を報告する.
症例は69歳男性.ホルモン不応性前立腺癌の局所再発および肝転移に対し, docetaxel, リン酸エストラムスチンおよびcarboplatinによる 3 剤併用化学療法を行った.前立腺癌の進行は認めなかったが, docetaxel開始からわずか10カ月後に急性骨髄単球性白血病が出現した.染色体検査で 9 番染色体短腕と11番染色体長腕の転座を認め, 化学療法による治療関連性白血病と診断した.原因薬剤として臨床経過と転座所見の文献的な背景を考えるとdocetaxelの可能性が最も高いと考えられた.
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© 2009 一般社団法人 日本泌尿器科学会
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