育種学研究
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DNAマーカーによるイネ日本型品種間の多型検出頻度の比較
河野 いつみ竹内 善信島野 公利佐々木 卓治矢野 昌裕
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2000 年 2 巻 4 号 p. 197-203

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抄録

DNAマーカーによる連鎖地図作成は有用形質に関与する遺伝子のマッピングに不可欠である. 本研究では連鎖地図作成に有効なDNAマーカーを明らかにするために, 遺伝的多様性の低い日本型品種間におけるDNAマーカーの多型検出頻度を比較した. 多型検出には制限酵素断片長多型 (RFLP), 任意増幅断片長多型 (RAPD), 増幅断片長多型 (AFLP) および単純反復配列 (SSR) マーカーを用いた. 日本型15品種間の多型検出頻度は, RFLPマーカーで7.5~17.6%(プローブあたり), RAPDでは4.1~9.4 (増幅断片あたり), AFLPでは1.2~3.9%(増幅断片あたり), SSRでは11.4~34.3%(プライマー組み合わせあたり) となり, マーカーの種類により大きな差が認められた. 多型検出頻度はSSRおよびRFLPマーカーで高く, AFLPでは著しく低かった-RFLPとSSRマーカーにおいては複数の対立遺伝子を検出することができた. 検出される対立遺伝子数を比較すると, RFLPマーカーでは3個以下であったのに対して, SSRでは5~6個の対立遺伝子を識別できるマーカーが存在した. 以上の結果から, 多型検出頻度が比較的高く, 染色体上の位置情報が明らかなRFLPマーカーとSSRマーカーを組み合わせた利用が, 日本型品種間の連鎖解析に有効であると示唆された.

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