日本透析医学会雑誌
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透析導入時上皮小体機能に関する検討
山中 正人布川 朋也中西 良一甲藤 和伸小島 圭二川西 泰夫沼田 明
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キーワード: 透析導入, 上皮小体機能
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2004 年 37 巻 10 号 p. 1861-1864

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抄録

目的: 透析導入期の上皮小体腫大の有無と血液生化学検査パラメーターとの関連を検討した.
対象と方法: 透析導入患者31例 (男性21例, 女性10例) を対象とし, 頸部超音波検査および血液検査を施行し, これらの関連を検討した.
結果: 上皮小体の腫大は5例 (16%) で認めすべて単発でサイズは長径5-10mmであった. 対象症例の年齢, 血清intact PTH値, 血清骨型アルカリフォスファターゼ (ALP) 値, 血清1,25(OH)2D値はそれぞれ中央値66歳 (40-87), 210pg/mL (6-910), 20.9U/L (14.1-53.0), 7.4pg/mL (3.6-17.4) であった. 血清intact PTH値と補正Ca値, リン値にはそれぞれ有意な負, 正の相関がみられたが上皮小体腫大との関連は認めなかった. 上皮小体腫大は補正Ca値が高値である場合と性別では女性において有意に高頻度で認められた.
結論: 透析導入時に二次性上皮小体機能充進症 (2HPT) による線維性骨炎を有している症例は少なかったが, すでに上皮小体の腫大を有する症例がみられており, 保存期腎不全時期より2HPTに対し十分な管理, 治療が必要であると考えられた.

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