日本透析医学会雑誌
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血液透析による薬物除去率に影響する要因
平田 純生和泉 智古久 保拓太田 美由希藤田 みのり山川 智之
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2004 年 37 巻 10 号 p. 1893-1900

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抄録

薬物の透析による除去率 (透析性) について文献に記載のある140薬物を対象に蛋白結合率 (データ数135), 尿中未変化体排泄率 (データ数98), 油水分配係数 (O/W係数: データ数81), 分子量 (データ数140) と薬物の透析性の相関性について検討した. 薬物の透析性と相関性が高いパラメーターは順に蛋白結合率 (r=-0.600, p<0.0001), 尿中未変化体排泄率 (r=0.515, p<0.0001), logO/W係数 (r=-0.478, p<0.0001), 分布容積の逆数 (1/Vd; r=0.450, p<0.0001), 分布容積 (r=-0.341, p<0.0001) であり, O/W係数, 分子量, log分子量と薬物の透析性の間には相関性は認められなかった (各r=-0.157; p=0.163, r=-0.032; p=0.708, r=-0.026; p=0.770). さらに蛋白結合率, 分子量, 1/Vd, 尿中未変化体排泄率を説明変数とし透析性に影響する因子について重回帰分析を実施すると蛋白結合率 (β=-0.527, p<0.0001), 1/Vd (β=0.314, p=0.0001) が透析性を予測する有意に独立した因子となった. 蛋白結合率が高い薬物および分布容積が大きい組織移行性の高い薬物は透析性が低く, 透析性を予測する最も重要な要因であると考えられる. 尿中未変化体排泄率が低い肝代謝型薬物, O/W係数の大きい脂溶性薬物, これらのパラメーターはいずれも透析性を低下させる要因となる. 一方, 分子量が1,000 dalton前後の薬物については透析性を推測する要因としては影響しないことが明らかになった.

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