抄録
本研究では,畜産系および生活系バイオマスのメタン発酵が進展するケースを想定し,リサイクル品である液肥の需給比の市町村分布を解析した。その結果、中部地方は家畜系バイオマス対象の,北海道と関東は生活系バイオマス対象の液肥利用に優位な地方と判定され、一方,東北と九州は両ケースで液肥利用の進展が期待できる地方と判定された。さらに,佐賀県を事例地域として,液肥の過不足分を隣接する自治体と協働することで,液肥の需給が合致する広域連携範囲を特定した。その結果、液肥過剰であった5市町村から,液肥不足であった8市町村に液肥を分配することにより,液肥過剰であった2市町村と液肥不足であった5市町村で、液肥の需要と供給が概ね合致する水準に移行した。広域連携による需給マッチングの効果を定量的に評価することやGIS可視化することができ,広域連携を行う隣接自治体を特定するための方法として本研究手法の活用が期待できる。