2019 年 75 巻 2 号 p. I_1147-I_1152
高水温等の影響でサンゴが世界的に減少する中,人工的にサンゴの着生を促進する取り組みの意義が高まっている.本研究では,サンゴが適度な流れや乱れがある場に着生しやすいことに着目し,港内側のケーソン目地部の物理環境とサンゴの着生の関係を調べた.その結果,那覇港のケーソン目地部は,目地から離れた直立部よりもサンゴの総被度が高かった.特に成長が速く,立体的な構造を作り生態系機能上重要なミドリイシ属の着生を高める効果があった.また,サンゴ総被度は目地幅1m前後で最大化した.現地観測,水理模型実験結果と合わせて目地幅約1mまで目地幅が広いほど港内側出口流速が速くなり,それによってサンゴの着生が促進されることが示唆された.ケーソンの目地幅を意図的に広く設けることでサンゴの着生を促進する効果が期待できる.