2006 年 47 巻 7 号 p. 334-340
症例は44歳男性.1992年12月よりC型慢性肝炎にて当科に通院していた.1993年,肝生検にて慢性活動性肝炎と診断し,Interferonα-2a 600万単位を6カ月間投与したが無効であった.腹部超音波検査にて経過を見ていたが,2003年1月に直径約35mm大の低エコー腫瘤を門脈・下大静脈間に認めた.悪性リンパ腫を疑い開腹術を勧めたが拒否されたため経過観察をしていたところ,1年後の2004年1月には直径14×26mmまで自然縮小していた.しかし,同年12月には最大径78mmまで増大し体表から触知可能となったため,超音波ガイド下腫瘍生検施行した.病理結果よりdiffuse large B cell lymphomaと診断した.2005年3月10日よりRituximab併用CHOP療法を開始し,腫瘍縮小を認めた.C型慢性肝炎では,肝門部リンパ節腫大は比較的高頻度に認められるが,悪性リンパ腫の発生も念頭に経過観察すべきと思われた.