抄録
症例は70歳男性.平成13年から慢性副鼻腔炎にて近医よりセレスタミン®(1錠)を処方されていた.自己判断にて平成16年10月末に内服を中止し,11月初旬より嘔気,全身掻痒感および尿黄染が見られたため入院となった.血液検査および経過より自己免疫性肝炎と診断した.入院時は全身状態が良好でありUDCA(600mg/日)の内服で経過観察していたが数日後に急激な全身状態および検査成績の悪化を認め,PSL(30mg/日)の内服に変更し救命した.肝生検の病理組織像では,炎症細胞浸潤とロゼット形成を認めた.本症例は,長期間内服したステロイド剤(セレスタミン®)を中止したことが自己免疫性肝炎の顕在化および重症化の引き金となったと考えられた.また,病理組織で著明な鉄沈着を認め,これが自己免疫性肝炎の増悪に関与した可能性もあり,今後更なる検討が必要であると考える.