杏林医学会雑誌
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マレーシアの医療と救急医療
高山 祐輔麻生 有二塩川 芳昭
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2018 年 49 巻 3 号 p. 217-228

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抄録

 マレーシアの本格的な救急医療は,急速な経済発展による交通事故の増加を背景に1990年代から始まった。この経済発展により自動車が社会に普及し,交通事故件数の増加に至ったのであるが,この社会的変化を受け,マレーシア政府は救急医療体制の整備に追われ,1992年に首都であるクアラルンプールのクアラルンプール総合病院(以下,Hospital Kuala Lumpur: HKLと略)に救急部,1999年には国立外傷センターであるHospital Sungai Bulohを開設している。近年,同国は医師不足や地域医療格差などの問題に直面しており,コメディカルの職域の拡大や遠隔通信医療システムの導入などの対策を講じている。我が国においても医師不足が社会問題となっており,例えば,救急隊員(救急救命士)の職域の拡大はこの問題の解決の一手になり得る。我々は約20年間に渡りマレーシアの救急医療及び医学教育に従事した。その経験と収集した医療情報に基づき,同国の救急医療について報告する。

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