日本消化器病学会雑誌
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Print ISSN : 0446-6586
症例報告
診断に生検が有用であった肝偽リンパ腫の1例
塩澤 健木下 秀樹鶴田 英夫中村 研二内藤 慎二古賀 満明竹島 史直大曲 勝久水田 陽平村田 育夫河野 茂
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キーワード: 偽リンパ腫, 肝腫瘍, 肝生検
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2004 年 101 巻 7 号 p. 772-778

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抄録

51歳, 女性. 腹部超音波検査にて肝S3に径20×15mmの低エコー腫瘤を指摘され受診した. 同部は腹部単純CTで低吸収域, 造影CT早期相で濃染, 後期相で低濃度を示し, 肝動脈造影で淡い腫瘍濃染像を呈した. 肝腫瘍生検では異型のないリンパ球の集蔟像を認め, 免疫組織化学的にこれらのリンパ球が多クローン性を示すことから偽リンパ腫と診断した. 良性疾患と考えられたが, 偽リンパ腫には悪性化の報告もあり, 患者との十分な話し合いの結果, 肝部分切除術を施行した. 肝偽リンパ腫の報告はまれであり, 診断に肝腫瘍生検の有用性が示唆された症例と考えられた.

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© 2004 (一財) 日本消化器病学会
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