日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
消化管悪性リンパ腫の臨床
消化管悪性リンパ腫
中村 昌太郎飯田 三雄
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2001 年 98 巻 6 号 p. 624-635

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抄録

消化管悪性リンパ腫の臨床的特徴を概説した.胃リンパ腫の肉眼型は,低悪性度MALTリンパ腫では表層型(40%),高悪性度では腫瘤型(48%)が多い.小腸では潰瘍型,大腸では隆起型が多くみられる.文献報告のmeta-analysisの結果,低悪性度胃MALTリンパ腫に対するHelicobacter pylori除菌療法による完全寛解率は,I期では82%と高いが,II期(16%),高悪性度成分(19%),H. pylori陰性(6%)を呈する例では低かった.除菌による寛解後に7%に再燃が認められている.除菌無効例や高悪性度リンパ腫に対しては,化学療法や放射線療法などの胃温存治療が注目されている.小腸および大腸リンパ腫の治療は,手術と化学療法が多いが,低悪性度MALTリンパ腫の一部に対しては,H. pylori除菌療法や経口単剤化学療法などが試みられている.

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