日本歯周病学会会誌
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原著
Lactobacillus salivarius TI 2711によるPorphyromonas gingivalis殺菌の作用機序の解明
松岡 隆史中西 睦相場 勇志古賀 泰裕
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2004 年 46 巻 2 号 p. 118-126

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抄録

歯周病は歯周病菌により起き起こされるが, 本研究は口腔内フローラをコントロールするプロバイオティクスによって歯周病の予防を行うことを目的としている。本論文は歯周病菌殺菌効果のあるLactobacillus salivarius TI 2711 (LS 1) の歯周病原菌Porphyromonas gingivalis (Pg) に対する殺菌に関わる物質について明らかにすることを検討したものである。
実験はPg/LS 1混合培養系で生菌数とpH, 乳酸量を測定した。またPg単独培養系に乳酸やpHを変化させて生菌数の測定を行った。
その結果, Pg/LS 1混合培養系において, LS 1菌数をPg菌数の100万分の1加えた場合でもPgを完全に殺菌した。培養上清中の乳酸蓄積量とpH値の測定から, 40~50 mmol/lの乳酸量, もしくはpH値の6.0以下への低下がPgの殺菌を引き起こしていると予想された。Pg単独培養系でも同様の結果となった。
次に乳酸とpHのどちらがPg生菌数の減少に直接関与しているかを調べる為に, 乳酸と塩酸を添加して生菌数を調べた。その結果, 乳酸を添加したときの方が生菌数の減少ははるかに大きかった。次に乳酸と乳酸ナトリウムを用いて解離型と非解離型乳酸のどちらが生菌数減少に関わっているかを調べたところ, 乳酸のほうにはるかに大きい効果が認められ, LS 1のPg殺菌作用は非解離型乳酸によるものであることが示された。

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© 2004 特定非営利活動法人 日本歯周病学会
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