理学療法学
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研究論文
糖尿病を合併した急性心筋梗塞患者における運動療法の効果
-外来での回復期運動療法実施の有無による比較-
平木 幸治井澤 和大渡辺 敏森尾 裕志笠原 酉介長田 尚彦大宮 一人飯島 節
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2012 年 39 巻 1 号 p. 1-6

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抄録
【目的】糖尿病(DM)を合併した急性心筋梗塞(AMI)患者における運動耐容能の改善に対する膝伸展筋力および自律神経指標の関与について回復期運動療法実施の有無によりあきらかにすること。【方法】本研究は後方視研究である。対象はDMを合併したAMI男性患者連続41例(運動群24例,対照群17例)で,運動群は8週間の回復期運動療法を実施した。発症1ヵ月後(T1)および3ヵ月後(T2)の最高酸素摂取量(Peak VO_2).膝伸展筋力,自律神経指標であるΔHR(安静時心拍数と最大運動時の心拍数の差)の変化を比較検討した。【結果】運動群は対照群に比しPeak VO_2(26.1→29.4 vs 23.5→24.4ml/kg/min, F=7.5, p< 0.01),膝伸展筋力(1.7→1.9 vs 1.7→1.7 Nm/kg, F=5.1, p=0.02),ΔHR (71.3→77.2 vs 63.5→62.5 bpm, F=5.5, p=0.02)は T1からT2にかけて有意に改善した。【結論】DMを合併したAMI患者では,回復期運動療法を実施した群のみPeak VO_2,膝伸展筋力およびΔHRが有意に改善を示した。したがって,DMを合併したAMI患者の運動耐容能改善の背景には,膝伸展筋力とΔHRの改善が寄与しているものと考えられた。
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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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