日本臨床外科学会雑誌
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胆嚢癌におけるMUC1およびMUC2ムチン発現の臨床的意義
伊佐 勉狩俣 弘幸竹島 義隆下地 英明草野 敏臣武藤 良弘照屋 剛与儀 実津夫
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キーワード: 胆嚢癌
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2001 年 62 巻 11 号 p. 2621-2626

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抄録

胆嚢癌におけるMUCムチンの臨床的意義を明らかにするため,自験切除例41例を対象にMUC1およびMUC2ムチンの発現性と臨床病理学的因子および予後との関連を検討した. MUC1およびMUC2の発現程度の評価は免疫組織学的に行い,染色性を陰性,弱陽性および強陽性の3段階に分類した. MUCIは染色性が強くなるほど有意に癌の壁深達度が高度で,リンパ節転移陽性率が高かった(P<0.05).さらに,有意差はないが,染色性が強くなるほど進行症例が多く予後が不良である傾向があった.しかし,進行度別ではMUC1の発現性と予後との関連は認めなかった.逆に, MUC2ムチンは染色性が強くなるほど有意に腹膜播種陽性率が低く(P<0.05),リンパ節転移率が低い傾向にあった.胆嚢癌におけるMUC1およびMUC2ムチン発現の程度は,壁深達度,リンパ節転移,腹膜播種などの臨床病理学的因子と関連し,病期の進行程度の指標となり得る可能性が示唆された.

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