日本臨床外科学会雑誌
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左胃静脈に腫瘍塞栓を認めた胃癌切除症例の検討
中山 壽之増田 英樹天野 定雄柴田 昌彦青木 信彦石井 敬基根津 健軽部 秀明重松 千普鈴木 茂福澤 正洋逸見 明博
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2002 年 63 巻 2 号 p. 294-300

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抄録

左胃静脈に腫瘍塞栓を認めた胃癌症例について臨床病理学的検討を行った. 1991年から2000年までの10年間に手術を施行した胃癌362例中,左胃静脈に腫瘍塞栓を認めた症例は10例(2.8%)であった.塞栓が左胃静脈内に留まるもの8例,左胃静脈から脾静脈に連続したもの1例,左胃静脈から脾静脈,門脈本幹へ連続したもの1例であった.胃癌の主占居部位は上部,中部に多く,肉眼型では隆起形態をもつものが多く3型が7例であった.深達度は全例がSS以上の進行胃癌であり,組織型は低分化型6例,分化型4例で著明な脈管侵襲を認めた. AFP高値は2例であった.肝転移を6例に認めた.根治度Bの切除が2例に施行された.予後は,術後24カ月で無再発生存中が1例,術後6カ月で坦癌生存が1例,他の8例は2年以内に癌死であった.切除が予後の向上につながる症例も存在すると考えられた.

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