日本臨床外科学会雑誌
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バセドウ病の外科治療
栗原 英夫
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2002 年 63 巻 7 号 p. 1593-1606

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抄録

バセドウ病の外科治療は現在も1840年にKarl Adorf von Basedowが記載したMerseburgの3主徴,すなわち,甲状腺機能亢進症,突眼症,甲状腺腫の治療との闘いである.私の30年間の手術経験と症例の調査検討より,以下のような治療指針で手術を行っている. 1) 術後再燃の防止について:私の手術症例の, 1981年, 1991年, 1996年の3回(486例)の統計と,術後再燃で当院を受診した106例の調査結果より,術後再発のない術式として,甲状腺残量を2g未満にする甲状腺超亜全摘術を行っている. 2) 突眼症について:活動性バセドウ病眼症58例に甲状腺全摘を行い,甲状腺全摘は通常の亜全摘に比べ,眼症の進行に抑制的効果があることを認め,重症の眼症例には甲状腺全摘を行っている. 3) 甲状腺腫について:とくに術後再燃で巨大な結節を形成している症例では再手術が難しいため,再手術前に大量の放射性ヨードを投与し,甲状腺腫の縮小を待って手術し,良い結果を得ている.

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