日本臨床外科学会雑誌
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動脈塞栓術後に幽門輪温存膵頭十二指腸切除を施行した十二指腸GISTの1例
岡田 邦明近藤 征文石津 寛之益子 博幸秦 庸壮川村 秀樹
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2005 年 66 巻 10 号 p. 2450-2454

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抄録

症例は57歳,女性.右季肋部と背部の重苦感を主訴に当院受診.造影CTで膵頭部に拡張した血管を内部に多数認める腫瘍が存在した. ERCPで下部胆管は圧排伸展,主膵管も滑らかに伸展され狭小化していた.血管造影では腫瘍血管の増生が著明で, AV shuntが存在し動脈相早期より流出静脈と門脈が描出された.上腸間膜動脈より分岐する栄養血管を塞栓した後に,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術(PPPD)を施行した.病理組織検査で腫瘍は紡錘形細胞からなり,免疫染色ではc-kit, vimentinが陽性, CD-34, S-100, desmin, α-SMA, HHF-35は陰性で十二指腸GISTと診断した.膵頭十二指腸領域の血流の豊富な病変に対するPPPD術前の動脈塞栓術は術中出血量を減らす有効な前処置である.

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