症例は79歳男性.心窩部痛を主訴に近医受診.食道胃接合部癌の診断で近医入院となった.胃全摘+下部食道・脾臓合併切除+D2郭清を施行した.病理組織学検査では,食道胃接合部の高分化~低分化型腺扁平上皮癌, sm2, INFα, ly0, v0, n0であった.術後13カ月目の腹部CTで肝尾状葉に腫瘍像を認め,手術目的に当科入院となり,肝拡大左葉切除術を施行した.病理組織学的検査では,腺扁平上皮癌の組織型を呈し,転移性肝癌として矛盾しない所見であった.術後は,テガフール300mg/日内服+シスプラチン10mg/週点滴静注による化学療法を開始したが,食欲不振があり中止した.現在,術後12カ月経過したが無再発生存中である.早期食道胃接合部癌の肝転移巣に根治的肝切除した報告例は無く,積極的な肝切除が予後の延長に寄与しうる貴重な症例と考えられたので報告する.