2011 年 26 巻 5 号 p. 583-588
膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)は膵臓における前癌病変として注目されている.しかし,手術適応に関しては未だ議論の余地が残されているのが現状であり,適応ありと判断してもその侵襲の大きさから外科的切除を躊躇する症例も少なくない.そこで今回,我々はIPMNの悪性度の評価におけるFDG-PETの有用性について,当科で術前にFDG-PETを施行したIPMN切除症例13例で検討した.術後病理診断は,非浸潤癌が3例,浸潤癌が3例,腺腫が7例であった.PET陽性率は,それぞれ100%(3/3),100%(3/3), 14%(1/7)であり,IPMNの良悪性診断における悪性に対する感度は100%(6/6),特異度は86%(6/7)と非常に高く,治療方針の決定に難渋する症例においては有用な検査の1つとなりうる可能性が示唆された.