日本トキシコロジー学会学術年会
第35回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-058
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調査研究
承認薬物(1999-2006年)におけるヒトと動物の薬物動態パラメータの比較
*五十嵐 浩子進藤 英俊加藤 基浩石谷 雅樹麻生 良典
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抄録

薬物動態パラメータの種差を検証するため,医薬品医療機器総合機構ホームページに公開されている申請資料(1999-2006年)を調査した。承認医薬品約300品目より,適応拡大,注射剤,生物製剤及び抗がん剤(Cytotoxics)を除いた約70の経口剤を対象とした。ラット,イヌ,及び例数は少ないがサルについて,トキシコキネティクスあるいはファーマコキネティクスデータより,AUC,Cmax及びt1/2を得た。また健常人を用いたPhase I studyの結果より,臨床用量におけるAUC,Cmax及びt1/2を得た。それぞれの項目を体重1kg 当り1mg 経口投与時と体表面積1m2当り1mg経口投与時の値に換算し,ヒト/ラット,ヒト/イヌ,ヒト/サル,イヌ/ラット,サル/ラット比を算出し集計した。体重当り(mg/kg)及び体表面積当り(mg/m2)への換算はFDAの係数を用いた。
AUCにおいて,ヒト/ラット,ヒト/イヌ,ヒト/サル比は体重当り換算で中央値が2~9倍,約38~56%が2~16倍の範囲に入った。体表面積当り換算では中央値が1~1.5倍,約48~61%が0.5~4倍の範囲に入った。Cmaxでは,ヒト/ラット,ヒト/イヌ,ヒト/サル比は体重当り換算で中央値が2~4倍,約55~65%が1~8倍の範囲に入った。体表面積当り換算では中央値が0.6~1倍,約55~65%が0.25~2倍の範囲に入った。t1/2は,ヒト/ラット,ヒト/イヌ,ヒト/サル比は中央値が2~3倍,約63~77%が1倍以上となった。したがって,承認薬物(1999-2006年)においてAUC及びCmaxを体表面積換算すると種差が小さくなり,t1/2はヒトが動物より長くなった。また,体重換算したAUC及びCmaxは過去に調べられた結果(加藤ら,臨床薬理1996,27(4):759-769)と同様の傾向であった。

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© 2008 日本毒性学会
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