【目的】病変が医用画像上にどのように抽出されるかという画像所見としての「表現型」とタンパク質の情報との関係性を調べるradioproteomicsに関する研究が進められている.本研究の目的は,乳がんのMR画像における種々の特徴量,すなわち画像所見としての表現型から免疫チェックポイント分子の活性と不活性を判別するためのradioproteomicsの手法の構築である.【方法】公開データベースTCGA-BRCAから49症例の乳がん患者のmRNAおよび脂肪抑制T1画像を選択して実験に用いた.mRNAを用いて,免疫チェックポイント分子の活性(10症例)と不活性(39症例)を定義した.病変の表現型を用いてこれらの症例を判別するために,275個のradiomics特徴量を計測した.Lassoを用いて判別に有用な三つのradiomics特徴量を選択したのち,ロジスティック回帰を用いて免疫チェックポイント分子が活性化している症例と不活性の症例を判別した.【結果】ROC解析による評価の結果,AUCは0.81であった.【結語】免疫細胞の活動が免疫チェックポイント分子によって阻害されている患者は,そのブレーキを外すと免疫チェックポイント阻害剤が奏効する可能性が高くなるため,提案手法は乳がん治療における免疫チェックポイント阻害剤の効果の予測に応用できる可能性がある.
編集者のコメント本論文は,海外のがん症例登録データベースの乳房MR画像とmRNAデータを基に定量化した免疫チェックポイント分子の関係性を解析した研究である.放射線技術学分野においてradioproteomicsに係る研究成果は少なく,免疫チェックポイント分子の活性と不活性を高い精度で判別可能であることを示唆した貴重な論文といえる.現在,データベースのサンプル数が限定的であるため症例数には課題が残っているものの,病変所見から特定のタンパク質の発現や状態を推定できれば,至適治療法の選択に寄与する可能性がある.これは臨床的にも有意義なアプローチであり,今後の研究次第では更なる期待をもてる研究であると考えられる.以上の点において本研究は編集委員会で高く評価され,瀬木賞に選出された.
エッジ法による presampled MTF の簡便な解析方法の提案と検証
公開日: 2008/05/02 | 64 巻 4 号 p. 417-425
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藤原 誠, 汐月 剣志, 河野 実月, 納戸 大智, 奥川 幸洋, 古庄 剛, 西村 賢一, 財前 博文
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