日本放射線技術学会雑誌
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最新号
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巻頭言
臨床技術
  • 瀧澤 知世, 関本 道治, 児玉 直樹
    2024 年 80 巻 7 号 p. 721-730
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/07/20
    [早期公開] 公開日: 2024/05/30
    ジャーナル フリー

    【目的】診断参考レベルの効果的な設定と適用には,放射線装置および放射線測定器の精確な管理と,放射線量の正確な測定に伴う不確かさの評価が不可欠である.本研究では,乳房用X線装置の品質管理における平均乳腺線量(average glandular dose: AGD)の不確かさを詳細に評価し,放射線診療の精度と安全性を向上させるための推奨事項を提供した.【方法】AGD評価の不確かさ評価においては,半価層,入射空気カーマ,変換係数の各測定における相対標準不確かさを考慮し,最終的に拡張不確かさとして表現し,その区間を明確に定義した.【結果】2種類の線量計を用いたAGD評価から,不確かさの主要な要因は線量計の校正定数および変換係数の不確かさであることが判明した.【結語】不確かさを低減するためには,定期的に校正された線量計の使用が有効であり,信頼性の高い測定が可能である.2種類の線量計は一般的に使用されるため,本研究の結果は医療施設で品質管理におけるAGD評価の不確かさの参考値として役立つと考えられる.

  • 吉田 誠, 佐伯 悠介, 宮井 將宏, 城野 弘樹, 加藤 勝也
    2024 年 80 巻 7 号 p. 731-740
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/07/20
    [早期公開] 公開日: 2024/06/07
    ジャーナル フリー

    【目的】大腿骨頚部不顕性骨折の単純X線画像所見とされる骨硬化像の視認性が向上する周波数強調処理について検討すること.【方法】骨盤ファントムを用いて,0.7, 0.9, 1.1 mm径の骨硬化像を作成した.撮影した単純X線画像に対して,周波数強調処理タイプおよび高濃度側強調係数を低周波数強調RF-A(1.0, 2.0),中周波数強調C(2.0, 4.0),メーカ推奨処理D(1.0),高周波数強調H(2.0, 4.0)に変化させた.物理評価では,骨硬化像部分と背景骨組織の信号値の差を比較し,視覚評価ではシェッフェの一対比較法を用いて嗜好度を比較した.【結果】すべての骨硬化像において,RF-C(4.0)で信号値の差が最大となり,最も嗜好度が高い結果となった.【結語】周波数強調処理RF-C(4.0)を用いることで,骨硬化像の視認性が向上することが示唆された.

  • 勝又 翔太, 高橋 俊行, 西村 柊子, 本寺 哲一, 安田 光慶, 加藤 京一
    2024 年 80 巻 7 号 p. 741-749
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/07/20
    [早期公開] 公開日: 2024/06/12
    ジャーナル フリー

    背景抑制広範囲拡散強調画像(diffusion-weighted whole body imaging with background body signal suppression: DWIBS)は,通常Transverse(Tra)方向で全身撮像するのが一般的であるが,撮像するステーション数が多く,撮像枚数も多いため,撮像時間が長くなる.また,ステーション間でコイル感度による信号差が生じる欠点もある.撮像時間の短縮を目的にCoronal(Cor)撮像も実施されているが,画像歪みによる影響が大きくなることが知られている.Sagittal(Sag)撮像においては報告例がない.そこで本検討ではSag撮像に着目し,撮像時間や画像歪み,脂肪抑制効果,ステーション間の連続性について検討を行った.ファントムによる検討において,撮像時間はCor撮像が最も短く,Sag撮像が最も長い結果となった.歪みの評価では,Tra撮像とSag撮像において歪みの影響を抑制することが可能であった.脂肪抑制効果に関しては,撮像方向による差はみられなかった.健常ボランティア10名における検討においても同様の結果を得ることができ,Sag撮像ではステーション間の連続性が最も良い結果となった.

  • 笠原 朗弘, 岩崎 貴大, 水谷 拓也, 上山 毅, 関根 芳晴, 上原 雅恵, 小寺 聡, 五ノ井 渉, 岩永 秀幸, 阿部 修
    2024 年 80 巻 7 号 p. 750-759
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/07/20
    [早期公開] 公開日: 2024/06/20
    ジャーナル フリー

    【目的】心臓MRIにおける遅延造影画像の造影心筋の有無を判定する深層学習モデルを開発し有用性を検証する.【方法】当院で実施した造影心臓MRIを対象とし,遅延造影の左室心筋短軸像174枚を収集した.このうち144枚を学習データとし,心臓を対象とした関心領域の抽出,信号値のスケーリング,データ拡張を施し,学習用画像3312枚とした.正解ラベルは当院循環器内科専門医の読影結果を用いた.畳み込みニューラルネットワークを用いてデータ拡張前後各々に対して学習モデルを構築し,テスト用画像30枚で検証を行なった.収集した全症例の平均年齢は56.4±12.1歳,男女比は1:0.82であった.【結果】データ拡張前後で感度は93.3%で一貫し,特異度は0.0%から100.0%に,精度は46.7%から96.7%に向上した.【結語】本研究により開発された深層学習モデルは高い精度を示し,その有用性が示唆された.

  • 雜賀 貴大, 松本 賢治
    2024 年 80 巻 7 号 p. 760-765
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/07/20
    [早期公開] 公開日: 2024/06/26
    ジャーナル フリー

    【目的】膀胱内の尿量が測定可能なポータブル超音波画像診断装置であるキューブスキャンBioCon-900(以下,BioCon-900)の測定精度を調べ,前立腺がんのintensity modulated radiation therapy(IMRT)を行う前に蓄尿量を正確に把握することが可能か検討した.【方法】Halcyonによる前立腺がんのIMRTの施工直前に得られたkV-Cone Beam computed tomography(CBCT)画像(対象患者:23名,スキャン総数:139回)から計測した膀胱体積を基準値とし,BioCon-900による膀胱尿量の測定値の差を算出した.【結果】kV-CBCT画像から計測した膀胱体積が117.5±49.4 mlであるのに対し,BioCon-900で得られた膀胱尿量は104.1±48.6 mlとなり,差は絶対値平均で18.4%,相関係数は0.881であった.BioCon-900の測定値はkV-CBCT画像による膀胱体積よりも平均11%小さくなる傾向が確認された.【結語】CBCT画像による膀胱体積とBioCon-900で得られた膀胱尿量は強い正の相関関係を示した.BioCon-900はkV-CBCT撮影前に使用することにより,非常に精度良くかつ簡便に尿量を把握することが可能である.

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