日本放射線技術学会雑誌
Online ISSN : 1881-4883
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最新号
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巻頭言
原著
  • 溝口 直洋, 爲重 雄司, 金田 達也, 小川 芳司, 村中 良之, 玉村 裕保
    2024 年 80 巻 4 号 p. 345-353
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/20
    [早期公開] 公開日: 2024/03/05
    ジャーナル フリー

    【目的】VMATの点線量検証を実施するときには,急峻な線量領域を避けて測定する必要がある.そこで適切な測定点評価のために,治療計画装置(TPS)から計算した線量勾配を利用して,ファントム設置誤差に伴う絶対線量測定の不確かさの推定値( Uplan)を求める手法を提案する.【方法】TPSより,アイソセンタ近傍の点の計画線量値から線量勾配を求め,ファントム設置誤差を見積もり,提案した式を用いて Uplanを計算した.続いてタフウォーターファントムと電離箱線量計を用いて,TPSで指定した同一のアイソセンタ近傍の実測線量値から線量勾配を求め, Uplanと同様に Umeasを算出した.【結果】 UplanUmeasの相関係数は0.984となり,高い相関関係を認めた.また, UmeasUplanの差の平均値は−0.24%となった.これは,電離箱線量計による体積平均効果の影響を受けたことが原因と考えられた.【結語】本法で得られた Uplanは,ファントム設置誤差に伴う絶対線量測定の不確かさを反映し,測定点を評価するうえで有用であると考えられた.

  • 山畑 飛鳥, 今井 信也, 船橋 正夫, 大西 英雄
    2024 年 80 巻 4 号 p. 354-364
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/20
    [早期公開] 公開日: 2024/02/07
    ジャーナル フリー

    【目的】診療放射線技師(以下,技師)養成教育におけるX線撮影実習の指導内容は実臨床に即す必要がある.本研究の目的は,作成した胸部立位X線撮影実習用シナリオ,および指導項目の臨床的妥当性を,熟練技師の視線情報を用いて検証することである.【方法】われわれは熟練技師8名を評価者群(3名)と被験者群(5名)に分けた.評価者群は実習用シナリオと指導項目,および指導項目実施時の目安視線の組み合わせ(31項目)からなる検証モデルを作成し,被験者群は視線追跡デバイスを装着し,模擬の胸部立位X線撮影を施行した.評価者群は検証モデルの臨床的妥当性検証のため,被験者群の行動と検証モデルの適合を視線情報から評価し適合率を求めた.【結果】被験者群の行動にシナリオの順序を逸脱した例はなく,適合率91.6±6.70%を得た.【結語】本研究の検証モデルは熟練技師5名の行動と90%以上適合し,本研究のシナリオと指導項目の臨床的妥当性が示された.

臨床技術
  • 蜂谷 幸大, 千田 浩一, 松田 善和
    2024 年 80 巻 4 号 p. 365-373
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/20
    [早期公開] 公開日: 2024/02/20
    ジャーナル フリー

    【目的】脳血管DSAにおいて,マスク画像数の最適化が線量の低減に有効であるか検証した.【方法】同一の術者が実施した30名,60症例の脳血管撮影を解析の対象とした.これらは,1回目の脳血管撮影ではinjection delay timeを従来の1秒固定で行い,2回目は前回検査のDSA画像を参考にinjection delay timeを可能な限り短縮し行った症例であった.本研究では,2回の脳血管撮影におけるマスク画像数,撮影フレーム数,線量の変化について後ろ向きに解析した.【結果】Injection delay time短縮前後で,DSA 1回あたりのマスク画像数は6(5–7)フレームから3(2–3)フレーム(p<0.01)/57.1%[中央値(四分位範囲)/低減率],撮影フレーム数は34(32–36)フレームから32(29–34)フレーム(p<0.01)/7.9%,線量は33 (23–47) mGyから30 (21–40) mGy (p<0.01)/8.3%減少した.特に病変部拡大像撮影で大きく減少した.1検査あたりのマスク画像数は45(35–72)フレームから19(16–34)フレーム(p<0.01)/54.6%,撮影フレーム数は242(199–385)フレームから211(181–346)フレーム(p<0.01)/8.3%,DSA線量は295 (190–341) mGyから242 (167–305) mGy (p<0.01)/11.6%,総線量は369(259–418)から328 (248–394) mGy (p<0.01)/7.5%減少した.【結語】脳血管DSAにおいて,injection delay timeの短縮により,マスク画像数を最適化することは有効な線量低減法であった.

  • 中山 僚, 松原 孝祐
    2024 年 80 巻 4 号 p. 374-384
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/20
    [早期公開] 公開日: 2024/02/28
    ジャーナル フリー

    【目的】モンテカルロ計算コードを用いたシミュレーションモデルを構築することで,線量評価法の比較を行い,cone beam CT(CBCT)において精度と実用性を保証した評価法を検討する.【方法】モンテカルロ計算コードには,Particle and Heavy Ion Transport code System (PHITS) ver. 3.26を用いた.CBCTの線量は,cone beam dose index(CBDI)と米国医学物理学会のTask Group 111による方法(TG111法)によって評価した.CBDIの線量値と,TG111法によって得られた平衡線量を比較した.【結果】CBDIは過小評価となるが,一般的に使用される機器を用いて測定ができるため,実用性は保証される.TG111法は散乱平衡を満たす長尺ファントムを用意することが困難だが,精度は保証される.ファントム長15 cmにおけるTG111法は,散乱平衡を満たす45 cmと比較して,20%の過小評価となった.よって,1.20倍の補正係数を乗じることで,ファントム長45 cmの場合と同等の平衡線量を得ることができる.【結語】CBCTにおいて精度と実用性を保証した評価法を提案することができた.

  • 若松 重良, 西郷 康正, 奥 好史, 山下 貴大
    2024 年 80 巻 4 号 p. 385-389
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/20
    [早期公開] 公開日: 2024/02/26
    ジャーナル フリー

    災害拠点病院では事業継続計画(business continuity plan: BCP)の整備およびそれに基づく訓練の実施が義務付けられている.当院では,この中に病院情報システム (hospital information system: HIS)が機能しない場合の大規模災害訓練の計画も含まれている.現状,多くの施設がHISを使用できない場合,放射線部門のpicture archiving and communication system(PACS)も影響を受け,ポータブルX線撮影装置等の検査画像参照ができなくなる.依頼した検査画像を医師が確認する際には,撮影装置本体のビューア機能しか使えないため撮影装置本体まで出向き画像所見を確認する必要がある.そのため診療放射線技師は医師の画像参照中,撮影業務の継続ができず,緊急対応が困難になる.また現在,可搬型画像サーバセットとして商品化されているものもあるが,日常的に使用している機器を用い災害時の画像ネットワーク構築を検討した報告は見当たらない.そこで,今回われわれは病院情報システムが稼働していない大規模災害の状況で,救急エリアに限定した可搬型の画像サーバを臨時的に設置し,緊急時の画像参照用にwireless fidelity(Wi-Fi)ネットワーク(緊急時放射線画像参照ネットワーク)を構築した.

  • 深谷 岳史, 村上 克彦, 齋藤 将輝, 片倉 俊彦
    2024 年 80 巻 4 号 p. 390-402
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/20
    [早期公開] 公開日: 2024/03/07
    ジャーナル フリー

    【目的】ヘリカルスキャンにおいて,傾斜ワイヤ法によるslice sensitivity profile(SSP)測定は不適切であるといくつかの研究で示されている.本研究ではこの問題を改善するため,複数の金属線プロファイルを合成する傾斜ワイヤ合成法を従来の微小コイン法と比較し精度を検証した.【方法】微小コインおよび傾斜ワイヤ合成ファントム(外径70 mm, ドーナツ型で円周上から中心に集まる傾斜ワイヤ8本)をガントリ中心部および辺縁部に置き64列CTで撮影した.画像はスライス厚0.5 mmで再構成した.【結果】中心部における微小コイン法full width at half maximum(FWHM)と傾斜ワイヤ合成法FWHMの差は−0.015~−0.004 mm(−1.98%~−0.56%)で合成本数によって変わらなかった.上方8 cmでは0.001~0.029 mm(0.11%~3.74%),上方16 cmでは0.014~0.078 mm(1.86%~10.25%)と中心から離れるにつれ,また合成本数が少ない場合ほど差が大きくなった.【結語】4本(時計0時方向より90°ずつ角度を変えた)以上のワイヤ合成で微小コイン法との乖離がわずかとなり,正確に測定することができる可能性を示唆した.

討論
教育講座—放射線技術学研究におけるPython の活用術—
教育講座―将来に向かう電子線の放射線治療の再考―
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