日本消化器内視鏡学会雑誌
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電子内視鏡画像に対する輪郭強調法の検討
大坂 直文白木 正裕芦田 潔折野 真哉林勝 吉奥村 泰啓松本 章夫鍋島 敏也平田 一郎大柴 三郎
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1988 年 30 巻 2 号 p. 363-367_1

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抄録

 東芝一町田社製電子内視鏡(TGS-50D)で得られた胃潰瘍画像に対し,各種の輪郭強調を試みた.輪郭強調法として,電気的アナログ処理であるrecordenhancerを用いる方法とコンピューターを使用したデジタル画像処理である微分処理法,unsharp masking法,およびgreenhistogram strech法を行った.recordenhancerとunsharp masking法を用いた画像では細線が鮮明化され,潰瘍周囲の再生模様まで描出可能であった.微分処理法は細線の鮮明化には適さず,胃粘膜が微細斑状模様として描出された.微分処理法とunsharp masking法において,RGB成分に対する処理とHSI成分に対する処理の相違を検討したところ,大きな差異は認めなかったが,HSI成分に対する処理では色調の違いも若干強調される傾向がみられた.またgreenhistogram strech法では視覚的には良好な画像を得たが,輪郭を強調するという目的からは満足する結果を得られなかった.366 研究大坂直文ほか Vol.30(2),Feb.1988 今後計測やパターン認識へと画像処理を進めていく上で,これらの処理の有用性と可能性に期待された.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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