糖尿病
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硝子体手術後, 妊娠・出産に成功したインスリン非依存型糖尿病の1例
藤崎 知文樫田 久枝鮫島 浩波多江 正紀甲斐 元朗加治屋 昌子福島 茂宮田 典男
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1994 年 37 巻 7 号 p. 493-498

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抄録

症例は31歳初産婦. 25歳時, 他疾患で近医受診し尿糖指摘されたが放置. 28歳時 (1988年11月), 左眼痛を主訴に当院眼科受診し, 糖尿病網膜症を指摘された. このとき空腹時血糖337mg/dl, HbA1c12.5%. 以後インスリン治療していたが網膜症が進行し, 両側の光凝固施行. 29歳時には右硝子体手術施行. 妊娠前の網膜症の状態は活動性はなく, 31歳で妊娠成立した. 妊娠経過中は強化インスリン療法にて血糖コントロールを良好に保ち, また眼科, 産科と緊密な協議を行ないながら管理に努めた. 網膜症は不変のまま39週3日で帝王切開にて30629の健常男児を出産した. 出産後6ヵ月の眼科検診では網膜症の悪化はみられず, 現在厳重な経過観察中である. 硝子体手術後であっても網膜症が安定している状態であれば妊娠出産が可能と考えられる. またこのような症例では内科医, 産科医, 眼科医によるチーム医療が必須である.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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